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ほんとうは恐ろしい占いの話

神の宣託?悪魔の暗示?
タロットカードの象意にかかわる体験談 3題

特集エピソードの3話目は、世間がバブル景気に沸いていた頃、行きつけのバーのママがタロット占い師の顔も持つことを知ったある女性客が、「自分のことも占って欲しい」と頼んだことから、想像もしなかった恐怖に遭遇した体験談です。
なお、霊能者の先生からいただいたコメントも併せて掲載いたしました。

【その3】剣の代わりに万能包丁

投稿者 松村さん・39歳・東京都在住

タロットカード

これは私が直接、体験したことではなくて、高校時代から付き合いが続く親しい友人から聞いた話です。突拍子もない内容なので、初めのうちは信じられなかったのですが。

間接伝聞型の体験談というのは、得てして出典不明の眉唾が多いですよね。ネットや本でよく見る都市伝説とか幽霊の目撃談だとか。でも、この話の場合、直接の体験者は友人の叔母に当たる人でした。しかも私自身がその叔母さんと実際に顔を合わせたことがあり、その際に本人からも確認を取りましたから、少なくとも当事者が実在している点では間違いのない話なのです。

この女性、玲奈さんは私やその友人より一回り以上の年上で昭和41年生まれ。いわゆるバブル経済を謳歌した世代です。学生時代のボーイフレンドは、アッシー君(車で送る役目の男)、メッシー君(食事を奢らせる男)、ミツグ君(洋服やプレゼントのお金を払ってくれる男)、本命君(文字通り本命の恋人)の4人を使い分け、デートは広尾や代官山のディナーが定番。さらにクリスマスイブの夜ともなれば、彼氏からのプレゼントはカルティエの3連リング or ティファニーのオープンハートという、何というかもう羨ましさを通り越して、笑うしかないような派手派手しい青春を過ごしてきました。

私たちロスジェネ世代からすると信じられない話だらけなのですが、ほんの少し可愛い程度の容姿の持ち主でも周りの男たちがチヤホヤしてくれて、その歓心を買うだけのために大金を投げ出していたそうです。今で言えば、オタサーの姫などがそれに近い存在なのかもしれませんが、あの頃は閉鎖的なオタクの世界だけではなくて、普通の職場や学校の中でもそうした風景がありふれていたわけです。

だから女性側も勘違いしてしまうというか、「××は乗っている車がダサいからヤダ」とか「△△はファッションセンスが悪い」とか、果ては「目当てのレストランの予約が取れなかった」とか、そんな愚にも付かない理由だけで相手の好意を平気で踏みにじる、愚かな女性も多かったと聞いています。

「当時の私も、その手のバカ女の1人だったのよ」と以前、友人の家で会った際、玲奈さんは自嘲気味に笑っていました。
大学を卒業後は外資系企業に就職した玲奈さんでしたが、やがて会社の仕事にも慣れた頃、たまたま先輩に連れて行ってもらったバーラウンジのことをいたく気に入り、それから足繁く通うようになりました。

当時40過ぎの女性店主と初老のバーテンの2人で切り盛りする、カウンターと数席のボックスのみの小規模店だったそうですが、ママのきめ細やかなサービスとトーク、寡黙で職人肌のバーテンダー、そしてしっとりとしたジャズ系のBGMなど、トータルの雰囲気がとても居心地良く、会社の飲み会の後の締めや残業で疲れた帰り道にもよく顔を出していたといいます。
また、そのママという人は少し変わった経歴の持ち主で、以前は占い師をしていたそうです。

ある晩遅く、玲奈さんが店へ行くと、お客の途切れたカウンターの上にタロットカードが置かれていて、それについて訊ねたのをきっかけにママの前職を知ったのだそうです。大抵の女の人は占い好きですから、玲奈さんもご多分にもれず「興味があるから占ってみて欲しい」と頼んだのですが、「私の占いは当たりすぎることがあるので、止めておいた方が良い」と断られてしまいました。

「ママ、どうしてよ?当たってこその占いじゃないの?」
「まあ、たしかにそうなんだけど、それでも度を超してあんまり当たるとね。逆に困ったことが起きるのよ」
「それ、お客が気味悪がるってこと?」
「ただ気味悪いだけならまだ良いんだけれど、時と場合によってはね、色々と支障が出るというか」
「支障?どういうこと?」

ママはそれ以上の質問には答えず、裏手の厨房へ姿を消しました。代わりに1人で残ったバーテンダーに「今のあれ、どういう意味?」と訊ねてみても、ただ苦笑して頭を横に振るだけだったと・・・・・。

約2ヶ月後、玲奈さんは久しぶりにまたそのバーを訪れました。
間が空いてしまった理由は、会社の仕事が忙しかったことに加え、私生活でも色々なことが起き、とても夜遊びをする気分になれかったから。しかもその私生活での色々というのは、主に恋愛のトラブルでした。当時、彼女が交際していた男性が、別の女性と二股を掛けていたことが発覚したのです。

げっそりして覇気の無い玲奈さんの顔を見るなり、ママは驚いた顔をしたものの、「客のプライバシーには立ち入らない」といういつも通りの接客態度を貫いていました。しかし玲奈さんの方は悩みを誰かに聞いて欲しい心境だったそうで、やがてお酒が入るにつれて自分から絡み始めました。「この前、目にしたタロットで、どうしても占って欲しい」と粘り続け、最後はママが根負けして、カウンターの下からカードの束を取り出したのです。

2人はボックス席に移動し、占いが始まりました。
この話を私に聞かせてくれた友人も、またこの玲奈さん自体もタロットの知識がほとんどない人たちなので、具体的にどんなスプレッドを用いたのか、またどのような手順で占っていったのかといった専門的なことは一切分かりません。ただ初めの1枚がテーブルに配置される瞬間、占い手であるママの顔にかつて見たことがないほど真剣な表情が浮かび、同時に場の空気までもがピンと張りつめたように感じたそうです。

そして占断結果は「覆水盆に返らず」。つまり、今の相手とはこれ以上の可能性は望めないので、潔く諦めて身を引いた方が良いというアドバイスでした。しかし、玲奈さんはその答えに納得できず、なおも執拗に食い下がりました。

「新しい女と引き離しさえすれば絶対、あの人は私のところに帰ってくるはずなのっ!お願い、どうすれば良いか教えて!」
「この男の人は止めた方が良いわ。何度でも同じことを繰り返すタイプだから。それに別れさせることに成功したとしても、玲奈ちゃんの所へは多分、戻ってこないと思う。ね、この人はそういう人なのよ。私よりもあなたの方がその辺のこと、良く分かっているはずでしょう?」
「でも、あの人じゃないとダメなのっ!」
「はっきり言うけれど、これ二股じゃないわよ。あなたが気づいているその女の子だけじゃなくて、他にも同時進行で何人かと・・・・・」
「嘘っ!そんなの嘘よっ!」

酔いが回っている上に冷静さも失っていた玲奈さんは、いくら道理を尽くしても一向に聞き入れず、ほとほと困り果てたママは横に除けておいた残りのパイルから、さらにもう1枚、取り上げました。プロのタロット占い師がよくやる、追加質問のリーディングです。

そして、その時に出たカードというのが剣の2。使われていたデッキは大アルカナだけではなく、小アルカナも絵になっているタイプで、そこに描かれた神秘的な図案が玲奈さんの目に飛び込んできました。

皆さんもご存知のように剣の2のカードには、2本の剣を交差させてそれを胸元に掲げた女性の姿が描かれています。大抵の場合、背景は三日月が浮かぶ夜の海辺。そこに置かれた椅子に腰掛けた女性の両眼は、なぜか黒い布で覆い隠されているという、一見してミステリアスなカードです。

一般にこのカードの正位置は感情が均衡を保っていることや精神が冷静であることを表し、代表的な解釈としては当事者が目下の物事から一歩引いて、自分自身の内面に引きこもっている状態を意味すると言われています。ですから普通であれば占い手は、「もっと冷静になって、今の状況を見つめ直してみましょう」など、当たり障りのない助言をするのだと思います。しかし、この時のママはまるで違う言葉を口にしました。

「これ、かなりマズいわよ。もう金輪際、その人と会っちゃダメ。きっぱりと忘れてしまうのが身のためよ」
「いきなり、何?どうしてっ?」
「一緒にいたら、危険な目に遭うわ」
「危険?はっ、意味が分かんない」
「怒るのを承知ではっきり言うわね。あなたが今まで他人にしてきた仕打ち、そのしっぺ返しが来ているの」
「しっぺ返し?一体、私が誰に恨まれているっていうのよ!」
「それは自分の胸に手を当てて、よくよく考えてみて」

学生時代、さんざん車で送り迎えをさせた挙げ句、卒業と同時にあっさりと切り捨てたA夫。
同じく贅沢をするための財布役にして、最後は短い電話1本で別れを告げたS吾。

すでに恋人がいることを知りながら近づき、その仲を無理矢理に引き裂いたものの、飽きるとさっさと振ってしまったT哉。そして、その元恋人で悲嘆のあまり自殺未遂をしたA子・・・・・などなど、今まで玲奈さんが好き勝手に弄び、苦しめてきた男女の顔が次々と脳裏を駈け巡っていきました。するとママはその動揺を見透かしたように、

「ね、思い出したでしょう。今、その人たちの怨念がひとつにまとまって、独り歩きし始めているのよ。それがこの機会を使って、昔の恨みを晴らそうと・・・・・」
「も、もう止めてよ!馬鹿馬鹿しいっ!」

たちまち頭に血が上った玲奈さんは、警告の言葉を遮ると乱暴に店を飛び出しました。占えと無理強いされた上に八つ当たりまでされたわけですから、あちらにしてみれば迷惑な話です。ただこの時、すでに彼女は何者かに魅入られ、意志を操られていたのかもしれません。その証拠に、それから後の行動はさらに常軌を逸したものでした。

玲奈さんはタクシーに乗り込むと、自分を裏切った恋人の住むマンションへ向かいました。手許のバックの中にはコンビニで買ったばかりの万能包丁。もし今夜もその男性が新しい相手と一緒にいたら、それをちらつかせて脅してやるつもりでした。

占いの結果を見るまでもなく、自分でも「覆水盆に返らず」ということは薄々分かっていたのです。でも、その前にありったけの嫌がらせをして相手を窮地に追い込まなくては、どうしても腹の虫が治まらない──。当時の彼の住まいというのは、低層マンションの2階の角部屋。共同玄関はオートロック形式ではなく夜中でも自由に出入りができる上、いざとなれば外部に出ている管や柱を伝ってベランダ側からも容易に忍び込める造りでした。
また、彼はスキャンダルを極度に嫌うとても堅い会社に勤めていたので、よほどのことをしでかしても警察を呼ぶことはないだろうという狡猾な計算もありました。

ほどなく目的地に到着すると、まずは建物の表側から入り、部屋のドアに鍵が掛かっているのを確かめた後、いったん外へ出て裏手へ回りました。そして邪魔なヒールを脱ぎ捨てると、包丁入りのバックを肩まで通し、本当にマンションの壁をよじ登り始めたのです。

ベランダに降り立つと、真っ暗な室内の様子をサッシ越しに窺いました。試しにサッシ戸に手を掛けてみると、予想に反してスルスルと開き、躊躇うことなく屋内へ侵入。キッチンと続きのリビングを抜けると、忍び足で寝室のドアへ近づき、ゆっくりと開きました。

薄暗い闇の中で目を凝らすと、ベッドの掛布が盛り上がり、息遣いとともに微かに動いている様子が見える──。
(今夜はあいつ、1人だけ?まあ、いいわ。どうしてやろうか。とりあえず脅かして・・・・・)
後ろ手に部屋の照明スイッチを押し、それと同時に山なりの掛布を勢いよく捲り上げ、一瞬、息を飲みました。そこには自分を裏切った恋人の姿はなく、代わりに下着姿の女が横たわっていたのです。

部屋を間違えたわけではない。そうするとこの女が・・・・・。髪が逆立つほどの怒りにとらわれて、一気にまくし立てました。

「人のオトコの家で図々しく寝腐りがって!起きろ!この売女っ!ドロボウ猫っ!」
これが最愛の男を寝取った憎い相手かと、ありったけの罵声を浴びせながらも、玲奈さんは大きな違和感を覚えていました。相手が赤い模様の入った派手な下着を身に着けていると見えたのが、じつはそうではないことに気づいたのです。 「えっ?血・・・・・」

女はゆっくりと半身を起こし、玲奈さんを見返しました。その右手首には切ったばかりと思われるリストカットの痕跡があり、滴り落ちる鮮血が下着とシーツをまだらに染めていました。

「・・・・・ドロボウ猫はどっちだよ」
「あ、あんた・・・・・だ、誰?ココで何やってんのっ?」

見知らぬ女は無言で立ち上がりました。枕の下に隠れていたもう片方の腕が現れ、その手には刃渡りが20センチもありそうな鋭利なナイフが握られていました。

人づてに聞かされていた彼の新しい恋人というのは、二十歳を過ぎたばかりの初々しい女子大生。しかし今、目の前に立っているのは三十路と思われる痩せぎすの女。目鼻立ちは整っているものの、いかにも幸薄そうな容貌に、血の気が失せて青ざめた顔色。おまけに血と涙でメイクは溶け崩れ、それが憎悪の表情を浮かべながら、こちらをじっと見据えていたわけです。

最前、ママが言っていた「これは二股ではない」という言葉が頭を掠めました。目の前にいるのはたぶん、第三の女。それが偶然にも同じ晩に自分と似たような思いを抱き、裏切り者の男の家に忍び込んだのではないかと察しました。

「ぎぃぃっ。あの人と一緒に死のうと思って、ずっとここで待っていたのに、どうしてくれんだよ。アタシ、独りで死にたくない・・・・・オマエも一緒に死ねーっ!!」

女は叫ぶなり、ナイフを振りかざす。その一撃を何とかかわし、這うようにして玄関へ向かうも、一足先に行く手を塞がれ、すぐに向きを変えてリビングへ。そこに置いたバックから包丁を取り出し、震える両手で手前に掲げたものの、女はたじろぐ様子もなくじりじりと間合いを狭めてくる。

「ひ、人違いよっ!私もアイツに騙されたのよっ!」
「もう、どうでもいいっ!」

と、また振り下ろされたナイフが宙を切り、咄嗟に大きく後退ったのですがその時、ローテーブルの端に片足を取られ、包丁が手から離れました。女はそれを拾い上げると両刀構えの格好となり、あおむけに倒れた玲奈さんを見下ろしながら、凄まじい形相でゲラゲラと笑いました。

(コレ、ママが最後に捲ったカードの絵だ・・・・・)
転倒した拍子に後頭部を強打したらしく、薄れていく意識の中で玲奈さんはそう思いました。
暗い室内、カーテンの開け放たれたサッシを背にして立つ鬼女のような影。ナイフと包丁を交差して構え、その頭上のはるか先には、ガラス越しに望む三日月がオレンジ色の光を放っていました──。

再び意識を取り戻すと、そこは病室のベッドの上でした。傍らには青ざめた顔の彼が立ち尽くし、虚しい謝罪のセリフを繰り返していました。その話の仔細はほぼ想像通り。玲奈さんを襲ったのは以前、交際していた人妻で、無理心中するつもりで室内に侵入し、彼の帰りを待っていたそうです。

数時間前、深夜に帰宅して部屋のドアを開けた彼が目にしたのは、リビングの床へ向かって刃物を振り下ろそうとする女の姿。そこにもうひとつ、倒れた人影があることに気づくと反射的に体当たりをかませ、何とか押さえつけて凶器を取り上げた後、友人の開業医の息子に泣き付いたのだと。

手首を切った人妻も治療を受けて別室で眠っていると聞かされ、嫌悪よりも先に恐怖を感じた彼女は、無理に身を起こして自宅へ帰りました。これもまた案の定、この一件は警察沙汰にはならず、自分も包丁持参で家宅侵入した手前、蒸し返して騒ぎ立てるような真似はできませんでした。その後、彼の方から慰謝料とも口止め料ともつかぬ相当額の金銭を提示されたのですが、きっぱりと断って完全に縁を断ちました。

最後に玲奈さん本人の言葉をそのまま綴ります。

「本当は私、あの時、あの女に殺される運命だったんだって、今でもそう感じているのよ。 それをあのバーのママが、何か特別な力で助けてくれたんじゃないかって。でも、また店へ顔を出すのはあまりに気まずかったし、お礼も言わずにそのままになっちゃったんだけど。
とにかく人の恨みは買っちゃダメだって身をもって学ばせてもらったから、それからは心を入れ替えたわよ。おかげで今の旦那とも出会えて、それなりに幸せに暮らせているわけだけどね」

言いながら彼女はブラウスの腕を捲り、女に斬りつけられた時の傷痕(きずあと)まで見せてくれました。

「そんな深手じゃなかったはずなのに、なぜか今でも痛むことがあるの。で、そんな時は必ず夜、同じ夢を見るわけ。あのタロットカードの絵の夢。
2本の剣を持った裸の女が夜の海にいてさ、遠くには赤い三日月が出ていて、そのうちに映画のクローズアップみたいにその顔が大写しになるの。そう、あの時のおっかない女よ。それがスゴく嫌な笑いを浮かべながら、いつも同じセリフを吐くわけよ。オマエモハヤク、コッチニコイってさ。
あいつ、あれからもう1度同じことやって、それでホントに死んじゃったんじゃないかな。見るからにメンヘラって感じの女だったし。それにしてもさ、あんな下衆野郎のために死ぬなんて、何て言うかもうバカの極みだよね。だから私、その夢の中で必ずあいつに言い返してやるわけ。テメエ1人で死んでろ、バカ女!コッチは幸せに生きてるよってね」

天啓の霊能者による解説

知り合いのタロット占い師によれば、カードの絵が動いて見えるのはよくある現象だそうです・・・・・

タロットカードが深く関わる体験談を、3話続けて読ませていただきました。解説と呼べるほど大層なものではありませんが、私なりの感想や気づいたことなどを書かせていただきます。

まず第1話ですが、非常に不気味な話であるとともに、これは一種の予知能力が働いた実例ではないかとも思いました。語り手である体験者は「自分には霊感がある」という自覚をお持ちではないようですが、そうした方でも霊夢や日常の閃きという形で、未来に起きる出来事を予知できることはあります。

私共の業界では、霊的な感性がとくに優れている人や霊憑依を受けやすいタイプの人を霊感体質者と呼んで、他と区別して扱うことが多いのですが、こうした呼称はあくまで便宜上の問題に過ぎず、人間であれば誰しもが我が身の内部に様々な霊能力を潜在させています。自分には霊感が皆無だと思っている人でも、条件さえ整えば心霊体験に遭遇しますし、何かのきっかけで予知能力が発動することもあるわけです。このケースでは、それがタロット占いの最中にたまたま顕現したということになるのでしょうか。

カードの絵が動いて見えたということについては、じつは私も知り合いの占い師から似たような話を聞いたことがあります。その女性もタロットを使っての占断中に、そうした幻覚を見ることがたまにあるそうです。そしてそういう時には未来予測にしても状況の読み取りにしても、ほぼ必ず完璧に近い形で的中すると言っていました。

また、その場の全員が見たという謎の女性ですが、こちらは心霊現象というよりも幻視に近い体験であったような気がします。つまり、各々が未来のある時点で投身自殺を遂げる自分自身の姿を、集団幻覚という形で予見してしまったのではないかと思うのです。

すでに複数の死亡者が出ている話なので、幸いという言葉は不適切ですが、体験者の方は今のところご無事のようです。しかし、もしわずかでも不安を覚えていらっしゃるのであれば、一度その道の専門家に相談なさることをお勧めします。

2話目の公園に落ちていた恋人のカードの話については、読みながらある種の霊障に特有の波動を感じました。それは地縛霊化した死霊が発する念波で、しかも場の作用を受けてかなり増幅されています。この公園内の雑木林一帯には、人の念が残りやすい特殊な環境が形成されているようです。それが同じ園内の水場から発する陰の気の働きによるものなのか、あるいは付近に霊道のようなものが存在しているのか、仔細については判じがたいところがありますが、いずれせよ今なお彼の地において心霊的な危険性が継続していることはほぼ間違いありません。

そもそも落ちている物を拾うという行為には良し悪しがあり、私も過去に数件、道端で拾った落とし物から思わぬ霊障を受けたという相談に関わったことがあります。それらの物品を霊視してみると、いずれも持ち主の強い念が込められていました。またその内の1件では、事故で亡くなった方の遺品に当たるペンダントを拾い、それと知らずに身に着けていた方が自宅で霊を目撃するようになり、挙げ句には元の持ち主の死因と似たような事故に巻き込まれて、危うく命まで落としかけました。

ましてや本来、占いに使うタロットカードが1枚だけ落ちているという状況は、すでにその時点で素性を怪しむべきで、余計なことをせずに難を逃れた体験者の方は非常に賢明だったと思います。

そして最後のエピソードは、奇妙で怖ろしい因果応報の話として読みました。

世の中には呪いの念が届きやすい人とそうではない人がいると言われますが、直接の体験者である女性は後者であったわけです。しかしそうした霊的に鈍感なタイプでも、運気が大きく低迷しているような時期には怨念を跳ね返す力も弱まりますので、相応の霊障を被りやすくなります。「呪詛は然るべき時期を待って発動する」というのが私の持論です。他人に恨まれる行為を重ね、たとえその時は平気でも、いつかは必ず報いを受けるものです。

この話に登場するバーの女性経営者というのは、占い師である前に霊能者としても稀有な資質を有した人だったのでしょう。この人との出会いがなかったら、最悪の事態に至ったであろうことは想像に難くありません。

これも前段でご紹介したタロット占い師の言葉ですが、「本来は吉を暗示するカードであっても、それが出た位置やタイミングによっては大凶と読み取ることもある」そうです。彼女の場合、その代表例は審判のカードで、もし病占や事故の占断などでこれが出てしまうと、生命の危険を暗示していることが多いと聞きました。

各カードの教科書的な解釈に、占い師自身が積み重ねてきた経験と霊感が加味されるわけですが、実際、タロットや易といった卜術(ぼくじゅつ)の分野には生来の霊感に秀でた術者が多く、後にプロの霊能者に転身する例も少なくありません。