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霊媒事件簿

とあるテナントビルの話(1)

第11話

駅前至近の場所に建つ、8階建てのテナントビルで続発した心霊現象の話。昼夜構わず徘徊するおぞましい姿の霊に脅え、次々と借り手が去って行く。危機を感じたビル所有者は、知り合いのツテを辿って霊能者にお祓いを依頼するが…。

そこは某地方都市の駅前に建つ、一見何の変哲もない雑居ビルだった

遭難者の霊

これは私の知人の話なのですが、その人物も私と同業の男性、つまり職業霊能者です。名前は仮に高倉さんとしておきましょう。この高倉さん、人からお祓いを頼まれて引き受けたり、心霊相談に乗ったりしてあげたりするその道の専門家であるだけではなく、本業はインテリアデザイン関係の事務所経営者というちょっとした変わり種で、仕事の際はその2つの能力を同時に活かすようなこともなさっている方です。たとえば建物の新築や増改築に関わった時、家主や施工主に頼まれて家相を見てあげたり、必要に応じて風水的なアドバイスをしてあげたり、そうかと思えば建物が建つ土地や屋内をまで代行するという、一種の何でも屋的な人なのです。

棟上げの前には神社の神主さんを呼んで地鎮祭を執り行うのが通例ですが、それとはまた別に特殊な事情のある物件に限って、高倉さんが独自に浄霊除霊や因縁浄化をするわけです。例えば過去にそこの場所で悲惨な事件があったとか、自殺者や事故死者が出ているとか、多くの場合はそうした瑕疵物件をケアするようなことをしています。

そんな高倉さんの許に、ある日、懇意にしている不動産管理会社の営業マンから連絡が来て、「どうか、いつものように力を貸してくれないか」と頼まれたそうです。直接の依頼主は中部地方の某市に住む実業家で、その人が所有するビル物件に幽霊が出て困っている、という内容でした。

「頭がパックリ割れた中年男が、のべつまくなし現れるんです!」

数日後、高倉さんは仕事の合間を縫って現地へ飛びました。彼に電話を掛けてきた営業マンに案内されて向かった場所は、駅前の繁華街の入口付近に建つ8階建てのテナントビル。まだ白昼とはいえ辺りはそれなりに人の賑わいもあり、またビル自体も明るい感じの現代的な建物で、一見した限りはそこが幽霊の出るような不吉な場所とはとても思えなかったそうです。

「何か、感じますか?」

建物の全景をぼんやりと見上げていると、いきなり後ろから声を掛けられました。そこに立っていたのは、ビルの持ち主である実業家本人でした。「外見を見ただけでは何とも言えません」と慎重に答えると、オーナー自ら率先して屋内を案内してくれました。

その話に拠れば、「幽霊騒ぎが始まったのは、私が知る限りでは5年前からで、このビル自体を建ててから今年で15年目ですから、少なくとも最初の10年は何も起きなかったんですよ。それがその年の冬の時期を境に、急にテナントが数を減らしましてね。あまりにも不自然だったので、何か特別な原因があるんじゃないかと思って調べさせたんですわ」とのこと。そして仲介を任せている不動産会社や自社の社員に色々と聞き込みをさせた結果、過去にテナントとして入っていた事務所や店舗の関係者複数から「ビル内に男の幽霊が出る」という証言を得たそうです。

「もちろん、最初は信じませんでしたよ。でもね、口裏を合わせたわけでもなく皆一様に同じ証言をするわけです。『頭がパックリ割れた、背広姿の中年男の幽霊が、夜昼かまわず廊下やエレベーターに現れる』ってね。そいつに仕事を酷く邪魔されて、それが原因で従業員が逃げちまって、会社自体が立ち行かなくなったという可哀想な社長さんもおりましたわ。でも私、そういう事情を聞いてもまだ信じられませんでね。「この世にそんな馬鹿なことあるかいっ」と、まあこうなったら直接この目で確かめようと思ってね、勢い込んでここに泊まり込んだちゅうわけです」。

しかし、このオーナー自身もまた、その夜のうちに多くの証言に合致した霊と遭遇するに至り、とうとう信じざるを得ない状況に追い込まれたのだと、苦虫を潰したような顔で説明してくれました。

複数の専門家を呼んでお祓いを試みるも、まるで効果無し

「私がそいつ見たのは3階のトイレです。洗面所の鏡で頭を撫でつけていたら、すぐ後ろを黒い影が横切ってね。慌てて振り向いたら、すぐ外の廊下にいたんですわ、アレが。見たところは中肉中背の50絡みのオッサンでね、なんかこう冴えない服装ちゅうか、ヨレヨレの背広を着とってね、ネクタイもだらしなくほどけて、まるで道路に転がった飲んだくれみたいな感じでね、それがふらりふらりと左右に揺れながらと外のフロアをほっつき歩いておるわけです。で、そいつ、何だか服に似合わぬ変な帽子を被っておるなと……、あ、いえ、初めは遠目だったもんで帽子に見えたわけですがね。しかし、帽子じゃなかったんです。遠目によくよく目を凝らしたら…」

男の頭髪が真ん中で2つに割れ、血に染まった脳髄がはみ出している様子が見えたそうです。オーナーはいよいよ腰を抜かし、その霊が廊下の突き当たりで姿を消すまでブルブル震えて凍り付いていたのだと。そうこうあって最後には借り主がゼロという最悪の状態に陥り、さすがにこれは堪らないとその道のプロに頼ることになりました。

「初っ端は修験の筋だか何だかの坊さん、次にその手のお祓いで評判の高い神社の神主さん、あとはその辺の拝み屋やらイタコやら総勢5人ほどにお清めを頼みましたが、どいつもこいつも能書きだけは凄いんですが、肝腎の効果の方はさっぱりでしたわ。それでもういっそのことこのビル売るか、でなきゃ1回更地にして建て直すかと考え始めた頃、たまたま高倉さんのことを教えられましてね。こう言ったら失礼ですが、もうここまできたらダメモトや、最後に試したろ、というくらいの気持ちでお声を掛けさせてもらったんですわ」

建物と土地の過去を含めて物件自体に瑕疵は皆無。では一体、あの霊は?

高倉さんはオーナーと共に、全フロアの空きテナントをひとつ残らず順番に巡りました。世間で言われるほど頻繁に目撃される霊体ならば、プロの霊能者が気付かないはずはないのですが、何故かその霊感の網に引っ掛かる霊的な気配はなく、「一見、神出鬼没に思われている霊の出現だが、逆にそこには何か特殊な規則性があるのでは?」と推測しました。

とりあえず今はこれ以上、屋内を見回っても無駄だと判断した高倉さんは、いったん1階にある守衛室のようなスペースへ戻り、社員たちが苦労して集めて回った資料を見せてもらうことにしました。

その資料冊子によれば、まずビルが建っている敷地付近は元々戦前からの市街地で、終戦直後には瓦礫の傍らに闇市のマーケットが作られ、さらにそれが自然発展する形で商店街を形成。そのまま、現代に至るという戦後史を有していました。ただしその間、付近で悲惨な事件や事故があったという事実はなく、それどころか戦時中の爆撃で亡くなった人もほとんどいない地域であることまで分かり、高倉さんは頭を抱えました。

たしかに特殊な因縁のない場所にも浮遊霊の類いが出没することはあるのですが、それはあくまでも一過的な現象、というのが私たちプロの一般的な認識です。霊体出現の原因となる特定の依代(よりしろ・故人の執着や呪術などによって強い念が凝集した物体)を駆除したり、あるいは陰の気が停滞しやすい環境や状況を改善したりすれば、問題となる心霊現象は即座に立ち消えるのが常なのです。

一方、このケースでは、いくら調べても建物とそれを取りまく環境に風水や家相上の欠点はなく、それでいて目撃者たちの証言を聞く限りでは、件の男の霊は明らかに地縛霊の条件を備えた存在であったわけです。こうした矛盾点を高倉さん自身の今までの経験に照らし合わせると、行き着く答えはひとつしかありませんでした。

「どこかに霊の依代となるような物品が隠されているはずだ!」

そんな確信の言葉が脳裏を横切った時、その目前に待ち望んでいた霊体がようやくその姿を現したのでした。